売掛債権のない小売店でも安心!商品在庫ファクタリングとは?
ファクタリングは、一般に「売掛債権を現金化するサービス」として知られています。
そのため、売掛債権がある大手の事業者向けサービスと思われがちです。
しかし、ファクタリングにはさまざまな種類があり、その中には売掛債権のない小売店が利用できるものもあります。それが今回のテーマである「商品在庫ファクタリング」です。
「余った在庫を現金に換えられる」というのが主な内容ですが、以下に詳しく見ていきましょう。
商品在庫ファクタリングとは
商品在庫ファクタリングは、売掛債権ではなく「余っている在庫商品」を現金化するサービスです。
ファクター(ファクタリング業者)に売れ残った商品を買い取ってもらうことで、現金を手にすることができます。
「商品在庫のファクタリング」と聞くと小難しいように思えるかもしれませんが、現金化までの流れはいたってシンプルです。
ファクターに在庫商品の価値を査定してもらい、納得のいく査定結果であればそのまま買い取ってもらいます。つまり、仕組みとしては一般的な「不用品買取サービス」とほとんど変わりません。
ちなみに、申し込んでから現金を手にするまでに1~3週間ほどかかることもあるようです。
利用できる業種は?
商品在庫ファクタリングを利用できるのは、売掛債権のない小売業です。
具体的には、
・アパレルショップ
・家電量販店
・中古自動車販売店
などが利用し、処分に困った在庫商品を現金化しています。
余剰在庫があるとどうなる?
そもそも、在庫を余しているとどのような弊害が生じるのでしょうか。
①商品の品質低下
ほとんどの場合、長期にわたって売れ残り続けている商品は品質が低下していきます。
たとえば洋服や装飾品の場合、ブームが去ってしまうと必然的に価値は落ちてしまいます。
②利益の低下
売れ残りの商品が出るということは、その分だけ「利益が生じなくなる」ということです。
それだけならまだしも、仕入れるために使った費用を回収することさえできず、赤字につながりやすくなります。
③在庫スペースの圧迫
在庫は無限に置いておけるわけではありません。
売れ残り商品が増えれば増えるほど在庫スペースが圧迫され、新商品を保管することが難しくなります。
また、在庫を管理するためのコストも高くなるでしょう。
④税金が増える
売れ残った余剰在庫であっても、決算時には売上の一部として計上されます。
そのため、実際に利益は出ていないにもかかわらず、余剰在庫の分も含めたうえで所得税が課せられてしまいます。
このように、余剰在庫を持つことにはさまざまなデメリットがあります。
商品在庫ファクタリングを活用して在庫商品を整理しつつ、資金繰りを改善しましょう。
商品在庫ファクタリングのデメリット・注意点
処分できずに困っていた在庫商品を現金化できる、商品在庫ファクタリング。
売掛債権がなくてファクタリングを利用できない小売業には嬉しいサービスですが、デメリットや注意点もあります。
①買取価格が低くなりやすい
一般に、在庫商品の買取価格は低めに見積もられます。
具体的には、仕入価格の10~50%であることがほとんどです。
商品を仕入れるためにかかった費用がまるごと返ってくる、ということはまずありません。
②商品在庫ファクタリングに対応した業者が少ない
売掛債権のない小売業のために始まった商品在庫ファクタリングですが、対応しているファクターはまだまだ少ないのが現状です(2020年8月時点)。
これについては、
・既存の不用品買取サービスとの差別化を図ることが難しい
・買い取った商品を販売するための流通経路をファクターが確保できない
といった理由が原因と考えられます。
③古物営業法許可を得ている業者に依頼する必要がある
「古物営業法」とは、その名のとおり、「古物営業」に関する規則を定めた法律です。
・古物(中古品)を売買することで利益を得る「古物商」
・古物市場(古物商同士で取引できる場)を運営する「古物市場主」
・ネットオークションの運営者のような「古物競りあっせん業者」
などを対象としています。
古物商や古物市場主は、公安委員会から営業許可を受けなければいけません。
また、古物競りあっせん業者については、公安委員会に届出を提出する必要があります。
基本的に、ファクターは特別な資格を有していなくてもファクタリングサービスを提供できます。
しかし、「売れ残った商品の買取=古物の取引」と見なされることから、商品在庫ファクタリングを行うファクターは古物営業法許可を得なければいけません。
許可を得ずにサービスを提供することは違法であるため、事前に確認したうえで依頼することが必要です。
ちなみに、古物営業法許可の有無については、そのファクターの公式HPの会社概要欄に「古物商の許可番号」が明記されているかどうかで判断できます。
いかがでしょうか。
今回は「商品在庫ファクタリング」について解説しました。
デメリットや注意点はありますが、売掛債権のない小売業にとっては資金繰りを改善するのに適したサービスといえます。
・現金化できる売掛債権がない
・在庫商品をうまく処分できない
そんなお悩みを抱えている小売業経営者にとって、強い味方といっていいでしょう。