コラム

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ファクタリングで請求書を偽造したら何罪になる?

偽造

ファクタリングは、所有する売掛債権以上の資金を調達することができません。
ゆえに近年、請求書の内容を変えて調達できる金額を増やそうとする犯罪が増えてきているといいます。
そこで今回は「請求書の偽造」を取り上げ、請求書の偽造を行ったらどんな罪に問われるのかをまとめてみました。

2社間ファクタリングでは業者を騙せてしまう?

書類渡す

2社間ファクタリングは、利用者(売掛債権保持者)がファクタリング業者の2社で取引を行うため、取引先(売掛先)に売掛債権を譲渡する旨を通知する必要がありません。
つまり、偽造した書類をファクタリング業者に譲渡したとしても、取引先がこの不正を知ることはないのです。

ファクタリングの際には、
・取引の契約書
・請求書
・入金履歴が分かる通帳のコピー
などの提出を行いますが、これらはいってしまえば「いくらでも偽造が可能」な書類です。
「誰が見てもおかしい……」というような書類じゃない限り、ファクタリング業者がこの不正を見抜くことは難しいでしょう。

一方、3社間ファクタリングは利用者とファクタリング業者、そして取引先(売掛先)の3社間で行います。取引先のもとには正しい請求書が存在するため、「取引先もグルになっている……」という場合以外、偽造した書類を用いることはできません。
そもそも、「請求書の偽造」という悪事が取引先にバレたら取引が中止になることもあるでしょう。こういった面からも、「3社間ファクタリング偽造などの犯罪が行われにくい」といわれているのです。

請求書の偽造は何罪になる?

ここでは、「請求書の偽造」がどういった罪になるのか具体的に説明していきます。実際のケースも交えて解説いたしますので、ぜひチェックしてみてください。

詐欺罪になる!

詐欺罪

「詐欺罪」とは、「他人を欺く行為によって財物を交付させる行為」です。
よって、ファクタリング業者に提出する契約書や請求書など、売掛債権について記されている資料や通帳のコピーなどを偽造して提出することは、刑法上の「詐欺罪」にあたる行為となります。
なお、「請求書の偽造」には以下の2パターンが挙げられます。

・架空請求
・請求書の金額の水増し

「架空請求」はこの名が示すように、存在しない請求書を一から作成し、架空の売掛債権をファクタリング業者に売りつける行為です。
この際、実際に取引先の企業名(取引先の担当者の氏名などを含む)を無断で使用したり、印鑑を作成し署名押印したりする行為は刑法第159条1項の「有印私文書偽造」に該当します。

一方の「水増し」はすでにある書類の一部を書き換えることをさします。ファクタリングの場合、請求書の金額を取引先に無断で書き換える……などがこの「水増し」と呼ばれる行為であり、法律上では「有印私文書変造」に該当します。

ちなみに法律の上では押印・署名がない書類を「無印私文書」と呼びますが、無印私文書であっても偽造・改ざんを行う行為は「無印私文書偽造罪」とされ、犯罪行為とみなされます。

刑罰についてですが、「無印私文書偽造罪」の場合、「刑法159条3項に従い1年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められています。
そして「有印私文書偽造罪」「有印私文書変造罪」の場合、刑罰は無印私文書のときより重く「刑法159条1項、2項に従い、3月以上5年以下の懲役」となります。

自社の資金を横領する目的なら業務上横領罪にも!

ファクタリング業者を騙す「詐欺罪」は決して認められる行為ではありません。
しかし、多くの場合「社員の給料を払うため」「会社の存続のため」などの理由で罪に手を染めてしまっているといいます。
ですが、これが「横領」を目的として行為となるならば、「業務上横領罪」にも該当し、民法上の賠償責任が問われる可能性もあります。
どんなことが理由であってもこういった犯罪行為を行うことは絶対にやめましょう。

まとめ

いかがでしょうか。
今回は、「ファクタリングの際の請求書を偽造したら……?」というテーマでお伝えしてみました。
請求書の偽造行為は、「できてしまう」というのが現状です。
しかし、ここでお伝えしたように、私文書の偽造・変造行為は立派な犯罪です。
会社の健全な経営状態を保つことができるよう、利用するときは慎重に判断するようにしてください。

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